壊血病の原因はビタミンC不足?症状やメカニズムについて説明します!!


はじめに

壊血病2

私たちは生きていくために、食べ物から栄養を摂らなければいけません。栄養素は、働きや性質から炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5種類に分けられます。

ビタミンは、生存に必須な栄養素のうち、炭水化物、たんぱく質、脂質以外の有機化合物(炭素を含む化合物)の総称です。ビタミンは水溶性と脂溶性に大別され、水溶性9種類(B1、B2、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B7(ビオチン)、B9(葉酸)、B12、C)と脂溶性4種類(A、E、D、K)があります。

ビタミンは、そのものがエネルギー源になったり、体内で反応したりするわけではなく、「補酵素」として体内で起こる様々な酵素反応の手助けをしています。

そのため、体内のビタミン量が多すぎたり少なすぎたりすると、体に異常をきたします。ビタミン摂取が多すぎることによって起こる病気を過剰症、逆に少なすぎて起こる病気を欠乏症といいます。

壊血病はビタミンCが不足することによって起こる、最も歴史の古い欠乏症の1つです。今回は壊血病とはどんな病気なのかについて説明していきます。


壊血病の原因は何?発症まではしばらく時間がかかるようですね。

壊血病の原因はビタミンCの欠乏です。

ビタミンCの摂取量は年齢によって下記の表のように決められています。しかし全ての生物が、ビタミンCを食事から絶対に摂取しなければいけないわけではありません。

※ビタミンCの推奨摂取量

壊血病

実は、霊長類や一部の哺乳類は食べ物から摂取しなければいけませんが、それ以外の動物はビタミンCの合成酵素を持っているため、必要量を自分で賄うことができます。

私たち人間は遺伝子変異によってビタミンCを合成する酵素が働かなくなったようです。なぜ、生きて行くために必要な栄養素であるにも関わらず、ビタミンC合成酵素が働かなくなってしまったのかについては、残念ながらまだ明らかになっていません。

また、ビタミンCを全く摂取しなかったからといって、すぐに壊血病の症状が現れるわけではありません。ビタミンCは、私たちの体内に広く、また、かなりの量が貯蔵されています。

そのため、食事からの摂取が途絶えても、しばらくは体内に貯蔵されているビタミンCを利用することで体に支障をきたすことなく生活することができます。

壊血病の症状が現れるのは、ビタミンC摂取不足が始まってから数ヶ月後と言われています。

かつての大航海時代、長期の船旅の間に多くの船員たちが壊血病に苦しみながら亡くなりました。

発病まで時間がかかるせいで、出発当時は元気だった船員が航海途中に突然体調を崩し死んでいく、それも艦隊の上で何人もが同時期に似たような症状でバタバタ倒れていく、なんて恐怖でしかありません。当時は感染症か何かかと思われていたのも無理はありませんね。


壊血病になるとどんな症状が起こるの?

壊血病の症状は、ビタミンCの不足によって反応が障害される部位で起こります。

ビタミンCは、プロリンというアミノ酸からヒドロキシプロリンを合成する反応の補酵素として用いられます。ヒドロキシプロリンは、コラーゲンの構成成分の1つです

。コラーゲンは、皮膚や骨、血管の成分として形の保持を担うたんぱく質です。また怪我をした際には、コラーゲンを主成分とする組織が修復のために動員されます。

ビタミンCが不足すると、ヒドロキシプロリンの合成が阻害されるため、正常なコラーゲンが合成されなくなります。そのため、皮膚や粘膜からの出血が見られたり、傷の治りが遅くなったりします。

また、壊血病の症状に低色素性貧血があります。これは、ビタミンCが鉄の吸収に関わっているからです。鉄は赤血球中のヘモグロビンの構成成分です。

ヘモグロビンは酸素を鉄に結合させて血液中を流れていき、酸素を必要としている臓器に到達した時に鉄から酸素を離すことによって、酸素を供給します。

ビタミンCが不足すると鉄の吸収不全を起こし、ヘモグロビンがじゅうぶんに産生できなくなる結果、貧血を起こします。

他にも、ビタミンCはコレステロール代謝に関わっています。

体内のコレステロールは一定範囲内におさまるように厳密に調節されており、コレステロール量が多くなると胆汁酸という物質に変換されます。

この胆汁酸への変換にビタミンCを必要とします。そのため、ビタミンCが不足すると、体内のコレステロール量が増え、脆くなった血管壁に入り込み、動脈硬化の原因となる可能性もあります。


壊血病予防に必要な栄養素はビタミンC!野菜や果物が好きな方はたぶん問題ありません!!

壊血病を予防するためには、ビタミンCの摂取が不可欠です。では、ビタミンCはどんな食品に含まれているのでしょうか?

食品成分表を見てみると、可食部100gあたりに含まれているビタミンCが最も多い食品は、ピーマンであることがわかります。

「えっ、ビタミンCってレモンやみかんみたいな黄色い酸っぱい食べ物に多く含まれているんじゃないの?」と感じる人も多いかもしれません。実は、酸っぱい味はビタミンCではなくクエン酸によるものです。

ビタミンCは熱に弱いから加熱してはいけない、と聞いたことがある人もいるかもしれません。確かにビタミンCは熱に弱いですが、通常の加熱調理でなくなってしまうほどではありません

加熱した方が美味しく食べられるものは気にせず加熱調理してしまいましょう。

それよりも注意しなければいけないことは、ビタミンCは水溶性ビタミンのため、煮ると煮汁に出て行ってしまうことです。炒め物や蒸し物など、水分を捨てる必要のない調理方法をお勧めします。

また、いくら体に良いものでも、一度にたくさん食べるとかえって良くありません。先ほどお話ししたように、ビタミンCは鉄の吸収を助けています。ビタミンCを過剰に摂取すると、鉄も過剰に吸収されてしまいます。

過剰なビタミンCは水分と共に排泄されるのですが、ヒトは鉄の排泄機能を持っておらず、体内に鉄が蓄積してしまいます。

その結果、肝臓や神経などに異常が生じ、「ヘモクロマトーシス」という病気を発症します。1つの栄養成分にとらわれず、バランス良く食事をすることが大切です。


おわりに

現在は日常生活において、壊血病を発症するほどのビタミンC不足は起こっていないようです

しかし、災害などによって避難所で生活している人たちは、生鮮食品摂取の減少、インスタント食品摂取の増加といった偏った食生活を強いられてしまいます。

このような人々は、ビタミンCだけでなく、様々なビタミンやミネラルが不足しがちになってしまいます。食べ物から摂取することが一番ですが、難しい場合はサプリメントに頼ることも1つの方法です。

また、加工食品の食品表示を見ていると、「ビタミンC」という表示がされていることがあります。これは、栄養素としてではなく、酸化を防止するための食品添加物として含まれているビタミンCです。

ビタミンCは酸化されやすく他の成分より先に酸化されるため、食品に混ぜておくと食品の酸化を防ぐことができます。酸化防止剤として含まれているビタミンCは、食品中に天然に含まれているビタミンCと同じようには働いてくれないので、注意が必要です。

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