ワークシェアリングの意味やメリットって?日本での成功例や問題点について。


はじめに

ワークシェアリング

現在、日本では働き方をめぐる環境が大きく変化しています。

戦後の日本では、企業に就職したら定年までその企業で働くという終身雇用制が、大きな柱となっていました。

しかし、正社員の割合を減らしつつ、非正規の労働者で穴埋めをするといった状況が一般的になりつつある中で、ワーキングプアのような問題も出てきています。

そこで、これまでの日本にはあまり見られなかった労働形態として注目を集めているのが、ワークシェアリングです。

ちなみにワークシェアリングとは和製英語で正式にはJob sharing(ジョブシェアリング)と言います。なんでそのまま使わなかったのでしょう??疑問です。


ワークシェアリングってそもそもどういう意味なんでしょう?導入例と合わせて説明します。

ワークシェアリング。これは文字通り、「ワークをシェアすること」なのですが、そもそも、このシェアとは何なのでしょうか。

SNSが普及した現在、「シェア=共有」というイメージがありますよね。でも、シェア(share)には「分け合う」「共同して負担する」といった意味もあるのです。

ですからワークシェアリングとは、「仕事を分け合う」「仕事を共同して負担する」といった意味になります。

たとえば、これまでは2人で担当していた仕事を3人で担当するといったことですね。これを行なうことで、仕事に就くことができる人数が増えるなどのメリットがあります。

その反面、1人当たりの給料が安くなるなどのデメリットもあります。

そのため、日本で本格的に普及するかどうかは意見が分かれているところなのですが、日本社会にとっての新たな労働形態として注目の存在であることは事実です。

これまで、日本で実際に導入された事例としては、緊急対応型のワークシェアリングがあります。

これは、景気の変動などによって一時的に人数が余ってしまった会社が、労使の合意のもと、1人当たりの労働時間を減らすなどすることです(それに伴って、給料も一時的に下がります)。

たとえば、半導体の不況に際して、ある会社が一時的に導入した「工場週3休制」などが、これに当たります。

また、バブル崩壊によって経営危機に陥った、ある大手自動車メーカーの系列会社が、元々は子育てや介護を対象としていた短時間勤務制度を応用してワークシェアリングを行なったケースもあります。


ワークシェアリングを導入して成功したケースとそのメリット。

次に、前項でご紹介した最初の事例について、もう少しくわしく見ていきましょう。

半導体不況に際して一時的に「工場週3休制」を導入した某社では、計6か月間、ワークシェアリングを行ないました(当初の予定は3か月だったものを、さらに3か月延長)。

実際の導入の形態は、それまで原則出勤日だった金曜日と土曜日を毎月、計4日、休業日とし、各月最後の休業日を有給一斉取得としました。

また、有給以外の毎月、計3日の休業日には、各該当日の給料を0円扱いとした上で、日割り給料の80%の休業補償を行ないました。課長職以上は上記とは違い、役職に応じた一時的な減額としました。

これにより生まれたメリットには、以下のものがあります。

まず、人員削減よりも社員の雇用維持を図っているという点で、社員の会社への信頼が高まりました。

また、社員の側から見ますと、給料の減額も過剰に大きなものではなく、一時的であれば許容範囲内と言えるものでした。その上、休日が増えたことで、かえって勤務外の時間を有効活用できるようになりました。

一方、会社側のメリットとしては、人員削減を行なわなかったことにより、受注が復活した際に、即座に対応できる体制を維持することができました。

経費削減にはそれほど効果的ではなかったものの、労使双方にメリットがあった成功例ということができます。


良いことばかりじゃないみたいですね。問題点やデメリットについて考えてみましょう。

前項では成功例とメリットを紹介しましたが、もちろんワークシェアリングにもデメリットや問題点はあります。

前項でご紹介した事例にも、デメリットと言える点は存在していました。
ひとつは、会社にとって経費削減による金銭的なメリットが、あまりなかったことです。

ワークシェアリングによる月4日の休業日のうち、1日が有給、あとの3日が80%の休業補償なのですから、人件費の削減はさほど見込めません。

また、あまりに休日が多くなり過ぎるため、社員の仕事のリズムがそちらに変わってしまうのではないかという懸念もありました。

つまり、本来の仕事の状態に戻った時に、対応し切れないかも知れないという不安です。そのため、この会社では、まだ経営状態が回復し切っていない段階で、早めに従来の勤務形態に戻しています。

一方、ワークシェアリング全般に共通する問題点としては、給料の低下や、経費削減につながりにくい面がある点が挙げられます。

まず、給料の低下についてですが、同じ量の仕事をより多い人数で対応するのですから、1人当たりの労働時間が減る代わりに、1人当たりの給料も下がります。

あまりに低過ぎますと、生活レベルの維持や将来の人生設計に支障をきたします。また、余暇の使い道が見つからない方にとっては、メリットが薄い制度でもあります。

一方、会社の側から見ますと、給料の総支払額には大差ないとしても、雇う人数が増える分、保険料が多くかかります。人数が増えた分だけ、管理の手間が増すことにもなるでしょう。

ワークシェアリングは注目すべき労働形態ですが、さまざまな問題点やデメリットも抱えている、ということです。


おわりに

ここまでワークシェアリングについて見てきましたが、いかがだったでしょうか。

あくまで外国の話かと思っていたら、短期とはいえ、すでに日本で導入された事例もあって、驚いています。

とはいっても、個人個人の給料は下がるわけですし、会社にとっても経費削減にそれほど効果的なわけでもない。

つまりは、「働き口を増やすこと」と、「給料はそれほどでなくていいから、自由な時間が欲しい」という人にとって意味がある制度なのかな、という気もします。

ワークシェアリングに関しては、「経営難等に対応するための一時的なもの」と、「安定した雇用形態としての長期のもの」とを、分けて考えた方がいいかも知れません。

ライフスタイルとも密接に関わる問題だけに、今後の展開にも注目です。

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