特別養子縁組には年齢制限などの条件があります。相続トラブルや問題点も留意しましょう。


はじめに

みなさん、「特別養子縁組」という言葉を聞いたことはありますか?

特別養子縁組は原則として、6歳未満の子供が幸せに暮らすための法律です。
本来、親と子供の間には法律上のつながりが存在します。

子供が幸せに暮らすために必要だと判断された場合に、子供と実親との法律上の関係を切り、その子供と子供を望む養親との間に正式な親子の関係を構築させるためのものです。

養子縁組にはもう一つ、普通養子縁組というものがあるのですが、実親との法律上の関係を切るため、それよりも成立条件や手続き、法的拘束力も厳しくなっています。

この記事では特別養子縁組とはどういったものなのかについて、成立させる条件のほかに起きうるトラブルや、指摘されている問題点について解説していきます。


特別養子縁組には厳しい条件がいくつもありあます。簡単にはできないんですよ!!

こども1

本来、親子の間の法律上の関係は切ることはできず、進学、就職、結婚といったさまざまなことに関わってきます。

特別養子縁組は、実親との法律上の関係と切って養親との間に新たに親子関係を構築するという非常に強制力のある制度です。
そのため、成立させるためにクリアしなければいけない条件も厳しいものとなっています。

では、その条件とはいったいどういったものなのでしょうか?

特別養子縁組を成立させるための条件は以下の8つになります。

①養親には配偶者が必要

養子の父親、母親となる人間がいるかどうかが前提条件になります。つまり、片親での特別養子縁組の成立はありえないということです。

②養親は原則どちらか一人が25歳以上、もう一人が20歳以上

養親となる人の年齢制限もあります。これは養親となる側の人間が、経済的、精神的負担の上で養育していけるのか、ということに繋がります。

③養父、養母が共同で養育可能か

これは、具体的に言うと夫婦仲が良好かどうか、ということです。1つ目の条件と重なる部分ですが、夫婦そろっての養育が前提となっているためです。

④養子希望の子どもは原則6歳未満、ただし6歳未満から養育している場合は8歳未満まで可能

6歳以上になると自我も発達してきて、年齢を重ねるごとに養親と上手く馴染むことが困難になってきます。ですが、それ以前から養親と暮らしていて、十分に親子の関係性を築いていけると判断された場合は、この期間を8歳まで引き延ばすことができるのです。

⑤養親は、養子を6ヶ月以上継続して養育する試験養育期間が必要

特別養子縁組を成立させるまえに、養親には6か月以上の試験期間が与えられます。その期間での出来事や暮らしの様子から、養親としてやっていけるかどうか、養子との間に良好な親子の関係を築いていけるかどうかが判断されます。

⑥試験養育期間が6ヶ月以上経過するまでは家庭裁判所に申し立て後でも特別養子縁組は認められない

先ほどの内容と少し被りますが、試験養育期間内に養子と間にトラブルがあった場合、養親としての能力が不十分だと判断された場合には、成立は認められません。

また、虐待や育児放棄、ネグレクト、重度の薬物依存症やアルコール依存症など、特別な場合を除いて、特別養子縁組を成立させるためには実親の同意が必要になります。この期間内に実親の同意が取り消された成立は認められなくなります。

⑦特別養子縁組が成立した後の離縁は原則的にできません

日本の法律において、戸籍上でだれとも親子関係を持たないということはできません。実親との関係を切って養親との間に新たに親子関係を構築する特別養子縁組ではそれが不可能となっているのです。

⑧養親の年収について

養親の年収については「年収○○以上」といった明確なラインは存在しません。しかし、そもそも養子縁組とは子供の幸せと健やかな成長のための制度です。とくに収入に困っていたり大きな借金を抱えておらず、養子の幸せと健やかな成長を実現可能な収入があれば問題ありません。

こうして見ると、どれも一貫して「養子となる子供が幸せな生活を送れるか、健やかに成長できるか」という点に着目されているのがわかりますね。なので特別養子縁組の成立にはたくさんの厳しい条件が必要になんですね。

特別養子縁組とは、これらの条件を揃えたうえで家庭裁判所の判断の下、認可されるか否かが決まる非常に厳しいものとなっています。


特別養子縁組におけるトラブルはやっぱりこれです!!

特別養子縁組で起きるトラブルで最も多いのは「相続」です。

とくに、養子以外に相続する人がいる家庭で、養親が亡くなった際に養子には相続権を認めないといった内容のトラブルが多いと聞きます。

しかし、遺書がない場合、基本的に養子か実子かで相続権が分かれることはありません。

例えば、家族構成が、A(父)、B(母)、C(実子)、D(養子)といった場合で、Aさんが亡くなり、遺書が残されていない場合を考えます。

その際は、B:1/2、C:1/4、D:1/4となります。


とても良い制度なんですがやはり問題点はあります。

こども2

一見、厳正に審査するための条件はそろっているこの制度ですが、厳正すぎるために養父母の負担が大きすぎるという問題があります。

また、世界的に見ると日本での成立件数はかなり少なく制度として遅れているといえます。それを改善するために、2019年1月に養子となる子供の年齢を15歳に引き上げるという見直し案が出されたのです。

6歳という制限により、過去2年間に不成立となったケースが46件にも上りました。つまり、それだけの子供が救われなかったということです。

また、この案には「成立に同意後、2週間以降は取り下げを不可能とする」ことも含まれています。

養子となる子の年齢制限の見直しや養親の負担を軽減することで、より多くの虐待に苦しむ子供たちを救う方法が模索されています。


おわりに

今回は特別養子縁組を成立させるための条件やその実態について解説させていただきました。

実親との親子関係を切って新たに養親との間に親子関係を結ぶ特別養子縁組には、厳正な審査と満たすべき条件のどちらも必要なものです。

しかし、慎重すぎる判断だけでは救えない子供もいます。

事実、イギリスと日本の成立件数を比較すると10倍以上もの差があります。
人口の差を考慮しても日本での成立件数は非常に少ないといえます。

児童虐待が年々増加する中で、それに対応するための人員も施設も不足しているのが現状です。

特別養子縁組の促進は、この問題の解決への糸口になるのではないかと思います。

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