実は栄養素満点の赤貝!!産地や旬は??おいしい食べ方も紹介します!!


はじめに

「貝」と聞くと、皆さんはどんな貝を想像しますか?

アサリやハマグリのような二枚貝もありますし、サザエやトコブシといった巻貝もありますね。分類学の父と呼ばれたスウェーデンの植物学者、カール・フォン・リンネの分類法によると、このような貝類は、タコやイカなど軟体動物の仲間に分類されるそうです。

殻を持っていない動物と同じ仲間と言われると、少し意外な気もします。

寿司ネタとして重宝されている赤貝は、二枚貝の一種です。赤貝という名前は、血液が赤いことに由来しています。

赤貝の血液中には、エリスロクルオリンというたんぱく質があり、酸素を運搬する働きを持っています。エリスロクルオリンは内部に鉄を持っており、この鉄が酸素と結合して酸化鉄になると赤くなります。この赤色が血液の色として現れているのです。

私たちの血液も赤色をしています。それは、ヘモグロビンという酸素を運搬するたんぱく質が、エリスロクルオリンと同じように鉄を持っており、酸素と結合して酸化鉄となるからです。


赤貝の産地って?結構どこでも獲れるみたいです。

赤貝1

赤貝は、北海道の南端から九州まで幅広く生息しています。

かつては全国の主要な湾や内海で生産されていたようですが、現在は仙台湾が国産赤貝の主要な漁場となっています。なかでも宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)で水揚げされた赤貝は、味や香りが良いとされ、高値で取引されています。

しかし近年、国産赤貝の水揚げ量は年々減少傾向を示しています。減少の原因ははっきりとは分かっていませんが、沿岸部の埋め立て工事や水質汚染、温暖化による海水温の上昇が関係していると考えられています。

現在、市場で取引される赤貝の約9割は、中国や韓国、ロシアなどから輸入されたものです。

赤貝によく似た貝に「サルボウガイ」という二枚貝があります。

素人目には、違いがよくわかりません。サルボウガイのことを赤貝と呼ぶ人もいるようですが、違う種類の貝です。見分けるポイントは、殻の表面にある縞模様の数です。この縞模様は放射肋(ほうしゃろく)と言い、赤貝には約42本、サルボウガイには約32本あります。

水産研究・教育機構という機関は、漁業資源の安定供給やコスト削減を目的に代用魚の開発をすすめており、サルボウガイは赤貝の代用魚とされています。

回転寿司や缶詰などには、このサルボウガイがよく使われています。このように聞くと食品偽装と感じる方もいるかもしれませんが、食品表示に正式な名称を表示している場合は問題ありません。

ただ、サルボウガイも年々水揚げ量が減少している魚介類の一種です。限りある資源を守るためにも、環境保全対策が急がれています。


赤貝に豊富な栄養素って何?

食品成分表を見てみると、赤貝は他の貝に比べて鉄とビタミンB12が多く含まれています。

厚生労働省は、健康の維持・増進のために必要なエネルギーや栄養素の摂取量を記載した、食事摂取基準を制定しています。また年に1回、国民健康・栄養調査を実施し、実際の栄養素摂取状況の調査を行なっています。

下の表は、食事摂取基準に記載されている鉄の推奨量と、平成27年に実施された国民健康・栄養調査で得られた鉄の摂取量を比較しています。

それぞれで用いられている年齢区分が異なるので正確な比較はできていませんが、この結果から女性で鉄の摂取が不足していることがわかります。ビタミンB12関しては、ここには示していませんが、摂取不足は見られないようです。

鉄欠乏によって起こる病気として有名なのは、貧血です。先ほどお話したように、私たちの血液中で酸素を運んでいるヘモグロビンは、鉄を持っています。

しかし鉄が不足すると、ヘモグロビンをじゅうぶんに産生することができず、全身への酸素供給量が減少します。私たちの体は、血液中の糖(グルコース)を細胞の中に取り込んでエネルギーを産生するのですが、酸素が不足すると、じゅうぶんにエネルギーを産生できません。めまいや倦怠感といった貧血の症状は、体のエネルギー不足の信号なのです。

では、ビタミンB12は体内でどのような働きをしているのでしょうか?ビタミンには水溶性と脂溶性があり、ビタミンB12は水溶性ビタミンに分類されます。

ビタミンは、体内で起こる酵素反応の手助けをする「補酵素」という働きを持っており、ビタミンB12は、遺伝情報であるDNAの合成や、エネルギー源の一種である脂肪酸の合成に関わっています。

先ほどの栄養調査の結果から、ビタミンB12の摂取不足は見られませんでしたが、もし摂取量が不足すると鉄不足と同様、貧血を起こします。

しかし、貧血の起こり方は異なります。ビタミンB12が関わっているDNAの合成は、細胞が分裂する時に起こるのですが、ビタミンB12が不足すると細胞が正しく分裂できなくなります。すると、大きいのに酸素を運ぶ能力が乏しい赤血球ばかりができてしまい、結果として貧血症状を起こすのです。


こうやって食べたらおいしいし効率よく栄養が取れます!!

赤貝2

赤貝の産卵は海水温が18〜20℃に上昇する頃に始まるのですが、これは西日本では5〜6月、東日本では7〜8月頃にあたります。そのため、卵を抱える前の晩秋から冬にかけてが、最も身が肥えており美味しいと言われています。

赤貝は、アサリやハマグリのように砂抜きすれば食べられるわけではなく、自分で捌かなければいけません。

詳しい捌き方などは動画などで多数紹介されているので、そちらを見ていただいた方がわかりやすいと思いますが、美味しく食べるポイントは、内臓(ワタ)を綺麗に取り除くことです。

中にはこのワタが好きな方もいらっしゃると思いますが、食品成分表には一応、内臓は廃棄部位と記載されています。内臓独特の生臭さが残ってしまったり、新鮮でないとあたってしまったりする可能性も高くなるので、どうしても食べたいという場合は注意が必要です。

新鮮な赤貝であれば、刺身で食べるのが一番ですね。また、赤貝には鉄が多く含まれているので、せっかくなので効率良く摂取したいですよね。

食品中に含まれる鉄(Fe)には、Fe2+とFe3+の2種類があります。

Fe2+はそのまま十二指腸で吸収されるのですが、Fe3+は一旦Fe2+に変えられてからでないと吸収できません。この、Fe3+からFe2+への変換に、ビタミンCを使います。

そのため、ビタミンCを多く含む食材と一緒に食べると鉄の吸収率がアップします。刺身にレモンを絞って食べるといいですね。

また、赤貝にはビタミンB12も多く含まれています。ビタミンB12は水溶性のため、茹でたり煮たりすると全て煮汁の方に出て行ってしまいます。

効率良く摂取するためには、汁ごと食べられる料理がおすすめです。炊き込みご飯にすれば、煮汁がお米にぎゅっと凝縮されて丸ごと食べられますね。


おわりに

今回は、赤貝についてお話してきました。

昭和初期には庶民の味だったはずの赤貝が、今や高級食材となってしまい、食卓で見かける機会は少なくなってしまいました。赤貝だけでなく、多くの魚介類が環境汚染や乱獲などが原因で、数が減少してきています。

限りある資源を守るため、多くの自治体が活動を行なっています。仙台湾では、赤貝を枯渇させないために、産卵期の7〜8月は赤貝漁を禁止したり、漁獲制限を設けたりしています。

また、全国各地にある栽培漁業センターでは、赤貝の栽培漁業も行われています。栽培漁業とは、人の手である一定以上の大きさにまで育ててから自然に戻す漁業のことで、つくる漁業とも言われます。

赤貝の他にも、現在80種類以上の魚介類が栽培漁業の対象となっています。

栽培漁業センターは見学会なども行なっているので、一度自分の目で見てみるのもいいかもしれません。水揚げ量が回復するまで、まだまだ時間はかかるかもしれませんが、いつか昔のように赤貝が食卓に並ぶ日が来るといいですね。

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