功利主義の意味をわかりやすく解説!問題点や特徴って?

はじめに

みなさんは「功利主義」という言葉をご存知でしょうか?

「倫理の授業で聞いたことあるような…」、「“功利”という言葉の意味すらあやふや…」という方が多いのではないでしょうか。

ちなみに私も耳にしたことあるくらいで、正確な意味やその言葉の歴史については全く知りませんでした。

功利主義は、近代に入ってから盛んに議論されてきた倫理・社会思想のことで、私たちがいかに社会で幸せに生きられるか、につながる重要な考えです。

ですので、聞き馴染みのない言葉のように思えるかもしれませんが、私たちが社会に属している限り、考え続けなければならないことでもあります。

今回は、功利主義という言葉の意味、その長所と短所、そして功利主義の人間の特徴、についてわかりやすく説明したいと思います。

功利主義。難しそうな言葉ですが一体どのような意味なんでしょう??

まず初めに、デジタル大辞泉(小学館より)によると功利主義とは次のような意味があります。

①功利を第一とする考え方。

②幸福を人生や社会の最大目的とする倫理・政治学説。「最大多数の最大幸福」を原理とする。英国のベンサムやミルによって唱えられた。功利説。

①での「功利」という言葉の意味は、「利益」のように考えていただいて構いません。

すなわち、ある行動や選択によってもたらされる利益を第一とする考えです。

②にあるように、功利主義を語る上で欠かせないのが、ジェレミ・ベンサムというイギリスの哲学者・経済学者です。

社会全体の幸福を重視するという考えは古くからあったのですが、この人が初めて功利主義を体系化しました。

彼の功利主義は、個人の苦痛や快楽をすべて足し合わせたものを最大化することを重視するものであり、「最大多数の最大幸福」とも呼ばれます。 ただ、幸福を最大化するとはどういうことでしょうか?

有名な例でトロッコ問題というのがあります。

線路を走っていたトロッコの制御が不能になった。このままでは前方で作業中だった5人がトロッコに轢き殺されてしまう。この時たまたまあなたは線路の分岐器のすぐ側にいた。あなたがトロッコの進路を切り替えれば5人は確実に助かるが、別路線でもう1人の作業員がいた。もしトロッコが進路を切り替えればこの1人を犠牲にして、5人を助けることができる。あなたはトロッコの進路を切り替えますか?

-Wikipediaより-

この場合、もしあなたが功利主義に基づいて行動すると、トロッコの進路を切り替えます。

なぜなら、5人死んで1人が助かるよりも、その1人が死んで5人助かったほうが、全体の利益になりますよね?

「なるほど!功利主義って多くの人の利益を優先する良い考え方だね!」と思ってしまうかもしれませんが、 こうした考えは本当に正しいと言えるのでしょうか?

良いところもあれば悪いところも。功利主義の長所と短所を考えてみます。

続いて、功利主義の長所と短所について整理してみましょう。

功利主義の大きな特徴は、ある行動を選択する際に、それに伴う快楽や苦痛を定量化することで決定するという点です。

したがって、客観性があると言えます。 客観性があると何が良いかというと、法の意味を説明できるというところです。

個人の利益を追求すると社会が不利益を被ってしまう、というケースがあります。 例えば、食べ物に困っているからといって万引きをしてはいけませんよね。

個人レベルでは、万引きをすることによって利益を得られますが、社会としては当然不利益になるわけです。

いくら万引きした人が不遇な人生を歩んでいて、かわいそうでも、決してそれを許すわけにはいきません。

このように、個人と社会の利害はしばしば矛盾することがありますが、こうした利害を調和するところに法の意味があるのです。

そして、その意味は客観性に基づいて説明する必要があるため、功利主義が役立つわけです。

次に、功利主義の短所についてですが、もう一度トロッコの例を考えてみましょう。

功利主義に基づくと、あなたはトロッコの路線を変更して、別路線にいた無関係なはずの作業員の命を犠牲にします。

そのおかげでより多くの命を救えるのですが、一部の人を犠牲にし、社会全体の利益を正当化して良いのでしょうか?

現実社会の似たような例に、原発問題がありますね。

原子力発電は化石燃料を使うことなく膨大な電力を発電できるため、資源の少ない国でも多くの人の生活を支えることができる、「コスパの良い」発電方法でした。

原発近くに住んでない人々からすれば、安価に電気を使えるようになるため、大きな利益になると言えるでしょう。

一方で、原発近隣住民の人々はどうでしょう?

いつ事故が起こって、被ばくする恐れがあるかわからない中で生活をしなければなりません。

しかしながら、こうした人たちは社会全体でみると少数派にあたるわけですから、功利主義の考えに基づくと、原発は正当化されてしまいます。

このように、多数派の利益を尊重する傾向にあるため、少数派の意見や害が無視されてしまう、ということが功利主義の問題点です。

あの人ってもしかして功利主義?功利主義の人にはどのような特徴があるのでしょうか?

あなたの周りに功利主義の人は見当たりますか? 功

利主義の人はしばしば次のように言われることがあります。

・打算的

・道徳心がない

・目的のためにはどんな手も使う

etc…

功利主義な人というと、このようなネガティブなイメージが先行してしまいがちです。

ですが実際のところは、性別や人種、肩書きによって差別しない、すべての人々は平等であるという考えに基づいて意思決定を下しています。

したがって、仕事では上司や部下、女性や男性関係なく平等に接することでしょう。 非常に合理的で筋の通った考えですので、組織全体の生産力も上がることでしょう。

一方で、やはり仕事で関わるのは良いけど、プライベートではちょっと…ということもありますよね。 例えば昔から長年付き合ってきた仲でも、功利主義の人からすると、そんなあなたも他の万人と同等であると思われるのです。

実際に、プライベートでも極端に功利主義という方はそうそういないとは思いますが…

ただ、仕事では組織のためを最優先に考える功利主義的な人はたくさんいると思います。

現に私もそういった方々を多く目にしてきました。 個人的な感想ですが、功利主義的な人たちは公私の区別がきちんとしていて、仕事のできる方が多いように思えます。

功利主義の考えをきちんと理解することで、そのような人たちともうまく付き合えるかもしれませんね。

おわりに

以上、功利主義についてざっくりと説明しましたが、いかがでしたか?

功利主義はよりよい社会を築き上げていく上では欠かせない概念のひとつです。 社会全体の利益のために、公正な選択をとることは、筋が通っていて非常に良いことだと思います。

ですが、人種差別、貧富の差、ジェンダー格差、環境問題などが叫ばれる今の世の中では、功利主義では解決できないようなことが沢山ありますね。

功利主義の意味と特性を適切に理解することで、新たな視点で物事を考えられるようになるかもしれません。

ちなみに私は、功利主義の考えはどちらかというと好きです。 すべての人の価値は同等であると考えるからです。

ただ、実際にトロッコ問題のような究極の選択が求められたときはどうでしょうね(笑)

もし、別路線で作業しているのが私の友人だったら、あっさり5人を犠牲にする選択を取るかもしれません。

こうした条件の違いによって行動が変わるのも、人間という動物がいかにあいまいな考えで生きているのか、ということを示していて面白いですね。

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